★エスパックス/espaxとは…
 
エスパックスは酸素過電圧電解方式により酸性電解水とアルカリ性電解水を生成する電解装置です。
酸性電解水で、主に 銅の酸化被膜除去を行い、硫酸イオン残渣除去を行います。
アルカリ性電解水では 油分残除去、イオン残渣除去を行い、洗浄対象の清浄化を行います。
アルカリ性電解水とファインバブル(FB)を利用して、金属、Si、CFRP等の加工工程で、
 従来の水溶性切削液の一部代替として利用します。
 
★espax電解装置ラインナップ
 
 
                   

 

★エスパックスの特徴
 
 <酸性電解水>
★生成時の物成: pH2.7 程度   ORP +1000mV以上
★特徴
銅の酸化膜除去が出来る。

 

 
 
espax酸性水による180℃・90分焼成した
銅酸化膜除の動画

 
〇銅の洗浄をしても電解水洗浄液中に緑青(塩基性炭酸塩)を形成しない。
 →水洗のように循環利用が出来る(pH維持の補充は必要)

 
〇硫酸銅めっき等で、銅表面に取り込まれた硫酸イオンの除去が出来る。
〇銅製品の脱脂洗浄でも効果がある。
 

〇espax酸性電解水は、水道水の10倍希釈で 中性域に戻るため、排水処理の負荷が無い。
 
 
 
 <アルカリ性電解水>
★生成時の物成: pH11.5程度 ORP -800mV以下(食塩電解の場合)
★特徴
〇脱脂洗浄効果がある=洗剤(界面活性剤)の代替が可能。

 
〇イオン残渣除去が出来る。

★イオン残渣除去ができる理由 : espaxアルカリ性電解水には安定した水素ナノバブルが存在するため。
 
 

 
 
 
★電子デバイス(主にプリント配線基板)での利用実績と効果
 
 <酸性電解水の効果と実績>
●銅めっき工程での利用
 ・化学銅めっきや電気銅めっき後の薬液残渣除去と同時に銅表面の清浄化
  → 酸化変色の防止、感光性樹脂の密着性向上
 
●ドライフィルム(DFR)の前処理での利用
 A.リジッド基板(サブトラ法)でのDFR前処理では バフ研磨後の硫酸過水処理代替で利用
 ★ 実際のLINE構成
 

 ※バフ研磨後に硫酸過水処理で表面粗化処理と銅粉の除去を実施されていた
 ※この硫酸過水処理槽に espax酸性電解水を導入して不良低減=コストダウンを実現されている
 
 ★導入の効果
 ①銅表面が酸化変色しない = DFRの密着性が向上する
 ②断線、欠けが激減し、%オーダーから ppm オーダーに不良率が低下した(下記参照)
 
 参考) 一ヶ月間 のエッチング後のAOIデーター(ユーザー提供)

 B.FPC や M-SAPでのDFR前処理での利用
 
 ★実際のLINE構成

 ※化学研磨の前後での酸性電解水利用
 ※利用の目的は 硫酸過水処理前には 銅酸化膜を除去しないと均一な粗化面が形成出来ないためと、
  硫酸過水処理後で スマット除去して銅の酸化変色を防止するため
 
 ★導入効果
 ●銅の酸化変色を防止して DFRの密着性が向上する
 
 ●DFR現像工程や、フォトソルダーレジスト(PSR)現像工程での利用
 
 ★実際のLINE構成

 
 ★導入の効果
 ①スカム除去により パターンめっきやエッチングでの回路形成不良が低減する
  → 回路形成工程では、135μ以下の L/S でないと効果が確認出来ない
 ②スカム除去効果や 銅表面の清浄化効果により PSR現像後の金めっき未着不良が低減する

 ③酸性電解水により 現像用のアルカリ性液体残存物が瞬時に中和されるため、感光性樹脂の膨潤が止まり、
  未露光の感光性樹脂の溶出による裾引きが改善される

注意点:DFRやPSRの現像工程で利用すると裾引きが改善出来ますが、これは未露光の
    感光性樹脂を瞬時に中和して流れ出ないようにする事に起因します。
    そのため、逆に現像残りがあると中和されて水洗工程では除去出来なくなります
    ので、ご留意ください。
    →現像のブレークポイントの確認をお願いします
 
 <アルカリ性電解水の効果と実績>
●めっき後の薬液残渣除去で、酸性水に耐性のない金属の場合、アルカリ性電解水による洗浄で対応可能です。ただし、水素ナノバブル効果がその主因であるため、3日以上経過したアルカリ性電解水では洗浄効果が低下しますのでご留意ください(下記表参照)
 
 
 <イオンコンタミ除去効果の検討>

 
 
 
★プリント基板以外での電解水の利用
 
 <工業分野での利用> ※主にアルカリ性電解水の利用
〇脱脂洗浄効果がある…60℃以上の加温により加工油に含まれる脂肪酸と電解水のアルカリ
           成分が結合し、金属石鹸の形成による脱脂洗浄効果を発揮する
〇精密洗浄効果がある…水素ナノバブルの効果により、半導体の後工程での利用実績、
           TFT等のガラス表面の精密洗浄、CMP後や、太陽電池生産の
           テクスチャー形成後の残渣除去で利用可能
           →80℃以上のアルカリ性電解水では Siが溶解出来る
 

〇ファインバルブとの併用で金属、ガラス等の無機物質の加工が可能
〇ファインバルブとの併用でSiインゴットのスライシング(切断)に利用する事により、加工廃液から
 酸化していないナノレベルのSiの回収が可能(2021年中国でPAT成立。No.4650362)
 →espalやFBの項目で説明
 

★設置事例
 
〇基本:Ca+、Mg+イオンを含まない 軟水、又は純水を電解原水として利用
    酸性電解水を主に利用する場合は、電解質として 99%以上の NaCl を利用
    アルカリ性電解水を利用する場合は、電解質として 炭酸カリウムを利用
〇構成:電解水を電解水貯留タンクに一旦貯留し、処理Lineに 定量補充をする
    この電解水貯留タンクの設置は、電解水を利用する場合の必須事項
〇管理:酸性電解水利用の場合は pH3.1以下を保持するようにLineへ補充する
    脱脂洗浄用のアルカリ性電解水の場合は、pH10.5以上になるようにLineへ補充する